結果、連続レイプ犯を捕まえたことになり、新聞でも取り上げられる事件となったのだった。
警察署から、優子と一緒に出る。
冷たい空気が頬を包む。
「「さむい…」」
二人の声が重なり、互いの顔を見合わせた。
辺りはもう暗くなり、警察署から漏れる光だけが優子の姿を映し出させる。
「「…………」」
お互い、なんとなく気まずい空気が流れてしまう。
その場に立ち尽くす二人の沈黙を破ったのは、優子の方だった。
「…ありがとう…」
俯きながら、小さく呟いた優子は俺の手を取る。
「嬉しかった…。すごく…すごく…」
俺の右手を、両手で包んでおでこにあてる。
「ありがとう…。本当に、 ありがとう…」
何度も、何度もありがとうと呟いていた。
涙を流しながら。
ふと、顔を上げた優子は揺るぎない強い瞳をしていた。
「二年前のこと、ちゃんと話したい」
その言葉に、俺は頷いた。

