まさか…
「優子……?」
青いゴミ箱の向こう側。
白いコートに身を包んだ、まるで捨て猫のような優子がいた。
訳が分からない状況だったが、優子が目の前ににいるという事実だけで涙が溜まっていく。
「陽平…来てくれた…」
きっと泣いたであろう、真っ赤な目でキミは無理に笑っていた。
「ばか……本当にばか…」
青いゴミ箱をどけて、乱れた髪に触れる。
「後ろに居た人が、触ってきたから…バックで叩いたらね金具がちょうど、目に入ったみたいで。その隙に、走って逃げて…ここに隠れてた。」
いたずらをした子供のように、優子はそう言った。
柄にもなく、じわじわと目頭が熱くなる。
「無事だったんだな…」
「うん…」
「……………良かった…」
足の力が一気に抜けて、さっきまでの震えとは違う、安心した震えを感じる。
優しく、自分の方に抱き寄せると涙がこぼれ落ちた。

