誘惑Baby



―――…


「はあっ、どこ!?」

優子の言っていた地域についたのに、いない。

どこの店に入っているかも、分からない。

一度切れてしまった電話を、もう一度かけているが出ない。


「優子っ………」



走って、走って…。

自分が何をしているか、分からないぐらい動揺していた。


もし、優子の後ろにいたのがレイプ犯だったら?

そうでなくても、優子を狙う変質者だったら?


考えただけで、情けないほど手が震えた。



すると、走っていたその時。


「陽平…」


小さく、消えるような声。

でも確かに、聞こえた。
優子の声。


「ゆっ、優子!?」



当たりを見回すと、建物と建物の間の細い隙間に人影が見えた。