「おーす、陽平!!」 教室に入るなり、一樹と出くわした。 「おー、はよ」 一緒に席に着く。 「なあ、ニュース見たか?」 「ああ。二年前の事件と同一犯らしいな」 「そう。それさあ、確か被害者…「授業はじめるぞ」」 一樹の声に重なって、先生が入ってきた。 被害者がなんだよ…。 授業が始まって、聞けなかったその名前を、耳にするとき…。 もう手遅れだったことを、俺は全く気づいていなかった。