誘惑Baby



「………」

「嫌いなの?」


急に静かになり、返事をしなくなる。

「優…「好きよ!ばか!!」

俺の言葉を遮って叫ぶ優子。

「好きだよっ大好きだよっ、だからっ!…だから…!!!」

「だから…?」

「頑張って…みたのに…」

だんだん語尾が弱まる。

頑張って…誘ってみたってことか…?

「美希が…、そのうち飽きられちゃうとか…言うから…」


何なんだ、もう。

どこまで俺を喜ばせればいいんだ。

「俺に捨てられるって?」

「………ん…ぐすっ」

扉越しに鼻をすする音。

どうしても、口元の緩みを抑えきれない。


なあ、優子。

それは、俺とそれだけ離れたくないんだなって、思っていいのか…?

自惚れるぞ、俺。