あれからはや数年。私は十七歳になり、長政様とお市様は仲良く平和に暮らしている。


織田と同盟を結んで間もない今。私は信長公から下された命令の為に朝昼晩働いていた。


これが数日連続で続くと、流石の私でもキツイ。


ようやく全ての支度を終え長政様とお市様を探しに、今度は城の中を駆け回る。


暫く色々なところを探していると、縁側にお二人の後ろ姿があった。


『いたいた・・・。長政様ー、お市様ー!』


私は二人の元にかけよると跪いた。


『浅市様、支度が・・・整いましてございます。』


浅市様とは、長政様とお市様お二人を指し示す言葉である。


「そうか、では、明日には此処をたつぞ」


「長政様、市も・・・私も行ってよいのですか?」


「あ、あたりまえだ・・・」


長政様は照れ隠しに立ち上がると、近くにいた家臣に「着物を頼む」と言うと立ち上がった。


そう、これから信長公が下した命令を、果たしに行くのだ。それは・・・


今織田の敵である、伊達・武田・上杉・前田に同盟を持ちかけに行くのだ。


戦ではないため、浅市様は鎧ではなく着物を着ていく。


確か、伊達も武田も上杉も前田も、織田を倒すために協力していると聞く。


きっと、それを崩すのが目的なのだろう。信長公は。


それを考えると、浅市様に危険が及びかねないのだ。


なんとしてでも守りきらなければ。私は自分の腰にぶら下がっている刀を握りしめた。


『気合をいれなきゃ・・・・・・この働き次第で、織田にも潰されるかも知れないし』


それが一番、恐いのだ。


平和な日々を、失いたくはない。


そうして夜は明ける・・・・・・・・・・・・・・・