全ての事を話し終えると、長政様は涙腺が緩んだのか、目頭を押さえた。
「そうか・・・そんなことが・・・・・・」
『はい・・・』
長政は何かを考えているのか、黙り込んだ。その真剣な表情に琴音は静かな時を待つ。
「琴音」
ふいに、長政様が私の名を呼んだ。そして・・・。
「小谷城に、住まう気はないか?」
『え!?で、でも・・・』
「行く宛てが、ないのであろう?」
長政にそう言われ、琴音は俯く。確かに、このままでは死んでしまう。
「それで、良いな?」
『はい・・・。あの・・・よろしくお願いします。』
私は、深く頭を下げた。不安と、喜びと、二つの思いが交差する。
「大丈夫だ」
長政様はそう微笑むと、私の頭を優しく撫でた。
それから、私は浅井の養女になり、お市様が輿入れした来て、
楽しく平和な日々を、送ることになる。
