「・・・・・・・・・・・・い・・・ち・・・?」


「私は大丈夫です。」


そう、微笑んだ。


「何が・・・・・・何が大丈夫だと言うのだ・・・!!」


「私は、織田信長の妹。そう簡単には殺されませぬ・・・。」


どこか祈りにも近い言葉に、長政はその場に膝を付いた。


私は長政様のそばに駆け寄り、信長の目を見据えると・・・


「市を人質にする。伊達を落せ」


「『 !? 』」


「落とせねば、市を殺す。・・・・・・以上だ」


信長は部下にお市を任せると、そのまま姿を消した。


お市様も・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「琴音・・・・・・すまない。お前に濡れ衣を着せる様な真似を・・・」


『自らかぶったのでございます。・・・伊達を・・・伊達政宗を、


殺しましょう。』


この時からだった。私達、戦国乱世の歯車が狂い始めたのは。


「・・・あぁ」


低い声で返事をすると、長政は歩みを再開した。


その後ろ姿に、静かに付いていく。


『・・・・・・・・・三日月ですね』


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」