戦国恋華

「アンタも、苦労してそうだな」


『お互い、ですよ。私は幸せですけどね』


琴音は満面の笑みで言うと何故かはわからないが、自嘲的に笑った。


政宗はそれに気づかないふりをすると、


「誰もが、そうやって笑って暮らせればいいんだがな」


といった。琴音は切なそうに小さくうなずくと、


『大丈夫ですよ・・・』


といった。


琴音はお辞儀をすると、その場を立ち去った。


一人残された政宗は、冷たい夜風になびく木々を見て、


「太平・・・・・・か」


と呟くのだった。








琴音は自室に戻ると、明日の予定を思い出しながら布団をしいた。


明後日には此処をたち、そのまま安土へと向かう。


今回のことの報告に行くのだ。


『信長公・・・・・・怒ってなきゃいいけど。』


そう、心から祈っていた。