ブラウン管の中の彼女



3階に着くと直ぐに香川さんを発見する事ができた。


「香川さん!!」


名前を呼ぶと、ウロウロ歩き回っていた香川さんが顔を輝かせた。


「祐一郎くん!!助かりました~!!」


「もう忘れないで下さいね」


香川さんに書類を手渡すと、もと来た方向へと歩きだす。


「祐一郎くん!!」


香川さんは突然後ろから制服の襟を掴んだ。


「な、なな、なんですか…?」


僕の体は後ろに傾く。


「今日の実早さんの様子がおかしいんですよ…」


香川さんはコソコソと小声で話し始めた。


「上の空っていうか…祐一郎くん何か知りません…?」


上の空…?


心当たりはひとつしかない。


昨日のあれだ…。


つい感情的になって変なこと口走ったからな…。