ブラウン管の中の彼女



「書類ってこれかな…?」


実早ちゃんの家まで来た僕。


ちなみに合い鍵持ってマス。


テーブルの上には茶封筒が置いてあった。


間違いない…これだ。


表紙には“絶対、絶対見ちゃダメですよ!!”っと香川さんが書いたらしき丸い文字が見えた。


見ちゃダメなら忘れないで下さいよ…。


僕はそれをテーブルから取り上げるために手を伸ばす。


その姿を黒いテレビの画面が映しだした。


僕は手を止め、真っ黒な画面の中の自分を見つめた。


ブラウン管に映る自分は丸く歪んでいた。


地味で自信がなくて、その上臆病な自分…。




画面一枚…


それが僕と実早ちゃんの距離…。


こんな薄っぺらく見えるのにその壁は厚すぎる。