ブラウン管の中の彼女



「祐ちゃん!!」


「実早ちゃん…速すぎだよ…」


玄関で出迎えてくれた祐ちゃんに直ぐに抱きつく。


「み、実早ちゃん!?は、離して…?」


苦しげな祐ちゃんの声に渋々体を離す。


どうやら実早は勢いあまって、祐ちゃんの体をぎゅうっと締め付けていたらしい…。


「お邪魔しま~す…」


玄関で靴を脱ごうとするとあることに気がついた。


「祐ちゃん、おじ様とおば様は…?」


靴は祐ちゃんのものしかなかった。


「今日も仕事だよ?」


実早の大好きなミルクたっぷりのココアをいれながら、祐ちゃんはそう答えた。



つまり…今夜は2人っきり!?


どうやら…


長い夜になりそう☆


ムフフと笑う実早を祐ちゃんは不思議そうに眺めていた――…。