「……私の責任だな」
子供らしくない落ち着き方。そうさせてしまったのは私…。
「祐一郎は私達の気持ちを先読みして自分の気持ちを押し殺してきた…」
あの年の子供には珍しく反抗期もなく、穏やかに育った。
でも本来ならそれは間違ってるんだ。
常に人の言うことを素直に聞く“良い子”なんて自分の意思を持っていないようなものだ。
「佐和…それは佐和だけの責任じゃない」
祐也はそっと私の肩を抱いた。
「佐和だけじゃない。僕だって祐一郎に甘えていたんだ」
ホントにダメな親だな…私達は…。
「でも、祐一郎がホントに感情を表し始めたならそれは良い傾向だよね」
祐也はニッと笑った。
「まあ、それが僕たちのおかげって訳じゃないのが何とも言えないけどね?」
行こうかと言う祐也とともに私は仕事へと戻った―…。



