そうなのだ…。


仲紗に言ったとおり、祐ちゃんの浮気疑惑はまだ晴れていない。


「一通りチェックしたけどわかんなかった」


あの日…祐ちゃんを迎えに行ったあの日。


あの時に見た可愛い女の子の正体は未だ掴めず、この高校に転校してからすでに一週間が過ぎていた。


祐ちゃんの交友関係なんて狭いだろうから、部活とか同じクラスの女子とかを見てみたけど全然わからない。


どうしたもんか…。



「実早…そろそろ仕事…」


「……うん」


実早と仲紗は立ち上がって扉へと向かう。


最後にチラッと祐ちゃんの姿を確認する。


太一にバシバシと背中を叩かれている祐ちゃんの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。


あいつ…今度やったら瞬殺してやる!!


実早の祐ちゃんになにするのよっ!!


拳を握り、心に固く誓うと仲紗がグイッと腕を引いた。


「殺人は犯罪…」


あやっ?


実早の心豊かな内面は表面に現れていたようだ――…。