【短編】宇宙に染まる指先




「拓海くんは誰よりも頑張り屋さんなんだよね。負けず嫌いで自分にも厳しくて」


耳元であやすようにゆっくりと吐き出されるちぃの声。

それが怖いくらいに俺をふわりと包み込む。


「みんなね、拓海くんのこと、冷たい奴とか薄情者とか言うの。私のこと放ったらして、一体何やってるんだって」


「……っ」


嗚呼、苦しい。

苦しくてたまらない。

そうだ、俺は。

ずっとコイツを一人にさせていたんだ、三年もの間。

“待ってろ”

そう告げて、逃げるように俺はここへ来た。

そうだ、仕方ない、そう言われても仕方ないんだ。


「実は…ね、お父さんにもお母さんにもそう言われた」


なのに、ちぃの口からその事実を聞くことが、たまらなく辛い。

分かっていても、理解していても、心が張り裂けてしまいそうだった。


「“拓海くんのことは諦めなさい。それがあなたにとっても幸せなことなんだから”って」


痛い。

耳が、頭が、心が。



―――痛い。