【短編】宇宙に染まる指先




「でもね…私、幸せになれなかった」



―――ちぃ…?



ちぃの声が震えた気がして、腕の中にいるちぃを見つめた。


「拓海くん……」


つと。

顔を上げたちぃの瞳に光るものを見つけ、思わず息を飲んだ。

目尻に溜まっているそれは、まるで宝石のように月の光に反射して。

穢れを知らない無垢な透明感を持つそれが、ちぃの白く柔らかな頬を滑るのを、黙って見ていた。


「私ね、拓海くんがいいの」


ほろほろと際限なく落ちていく雫が、俺とちぃの服に染み込んでいく。


「代わりなんて、誰も出来ないの。私は拓海くんだけがいいの。拓海くんだけでいいの」


切実に想いを吐露するちぃの唇が、ふるふると震えている。



―――嗚呼、どうしてこんなにも…



心の底にじわりと温かく染み込んでくる。

愛おしい。

愛おしい。

たまらなくコイツが愛おしい。