降りしきる雨の中、駅から家までの道にある公園の前、私はふと足を止めた。




雨の中の公園。
1人のランドセルを背負った男の子が傘もささずにブランコに座っていた。



私は引き寄せられるように近づいた。




「何、してるの?」



男の子はゆっくりと顔を上げ、ムスッとした表情で
「捨てられた。」


と、言った。



なんじゃそら、と思ったけど私はさしてた傘を畳み、男の子の隣のブランコに座った。



私も雨に打たれたい気分だった。



「そっかー…帰るとこがないのかー」



男の子は不思議そうに私を見る。



「君、名前は?」




「…五十嵐、爽馬。」




私はぴょんとブランコから飛び降りた。