一通り滑り、ゴーグルをずらしボードを外しながら翔のもとへ向かう。
「俺、もう一回行ってきてもいい?」
「いってらっしゃい、私は休憩してる。」
まだまだ元気な翔はまたリフト乗り場へと向かっていった。
それを見送った私は座れそうな場所を探す。
「お姉さん、1人?」
急に肩を叩かれ、私は無言で振り向く。
そこには同い年くらいのボードをかついだ栗色の髪をした男がいた。
「お姉さん、暇?」
こんなとこでナンパですか?
他の女と一緒にされちゃ困る。
何か言うべきなんだろうけど、言葉が出ずただ睨むだけ。
「1人?誰か待ってんの?」
無言を貫き通す私に、めげずに話しかけてくる。
「彼氏待ってる。」
とりあえずウソを言ってみる。
翔には帰ってきたら合わせてもらおう。