パタパタと足音がして蝉川が戻ってきた。
いちごミルクの紙パックを持って紫恵の隣に座った。

「霧原くん、ジュース飲まないの?」

蝉川が言った。俺の傍らにあるのはコーヒー牛乳。

「あ、うん。」

飲むよ、答えた。

ストローをさして飲む。

口の中に広がる甘い味に手の疲れがなんとなくとれた気がした。

開放されたような感覚でいると蝉川と紫恵の会話が聞き取れた。