私の仕事、
まぁ仕事なんてどれもそうなんだろうけど、
緊張感が常に付きまとう。
この緊張感に負けないように常に自分を高めなくては
ならないし、話している時に声が震えないように
自制心を働かせなくてはならない。

この仕事を始めて5年目。慣れもあってあんまり
緊張する機会は減ってきていたけど、

今日はがっちがちに緊張していた。

(だって、この話にかかってるじゃない。
離婚か、継続か…。
私の言葉が2人の将来を決める…。)

深いため息を吐いてトイレの前を
うろうろしていると、
誰かにぶつかった。

「きゃっ。すみません。」

「って。西村っ。何やってんだ?」

ぶつかったのは柏木だった。
柏木は瞬時に私の足と手の震えを分かってしまったようで、

「お、お前…。時間ないだろ。」

「なんか、良く分かんないだけど
緊張しちゃって。
風邪だってすっかり良いのに…。」