「担当医は佐藤大和（さとう　やまと）先生です…。」

「大和先生かぁ…。」

篠山主任はちょっとため息をついた。
後ろでは後輩と同期が黄色い歓声を上げる。

「大和先生だって～。羨ましい！
あたしも一緒に仕事した～い。」

「あたしも～。」

仕事はできる。と思う。
患者さん受けも良いし。
ただ、ただ、手が早い。女癖悪い。

（大丈夫。食われない、食われない。仕事なんだし。）

「まぁ向こうに好みがあるから大丈夫だろ。
じゃ何か進展あったら報告な。

あとその夫には絶対連絡取るなよ。
俺らは医療福祉の相談のプロだけど、
DVの相談のプロじゃない。何が刺激になるか分からないから、
そこはわきまえて対応しろよ。」

こういうアドバイスしてくれる時の主任はカッコよくて、
ちょっと惚れそうになる。