「救急で昨夜入院になった45歳の女性だったんですが、
担当したドクターから相談室に介入要請があって、
面接してきました。

…簡単に言うと、DVの可能性が高いと思います。
奥さんは殴られるのは初めてじゃないって話してました。」

篠山主任は黙って聞いていた。

「っで、お前どうするの?」

少し悩んでから、私は自分の考えを主任に伝えた。

「まず、怪我だったんですが打撲、打ち身、骨折。
この骨折は夫から逃げる際に転倒して、
腕を付いたらしく左手の小指が骨折してます。

昨夜遅かったので入院になりましたが、
身体の状況は良好なのでいつでも退院できると
担当医からは言われています。

今後の支援の方針ですが、もう少し詳しく話を聞いて
退院後の生活が安全に送れるように環境を整備しておく
必要があるんじゃないかと思ってます。」

そこまで話すと、腕組みをしていた篠山主任が

「っで、担当医誰?
まぁ介入要請があったんだったらなんとか
すぐ退院しろなんてこたぁ、言われねぇと思うけど

そこはドクターに話通しておけよ。
あとは、NPOとか民間のシェルター持ってる団体の
情報を確認しとけ。」