秘蜜。


「えーっと。改めて紹介するな。
一年三組担任の藤咲拓馬です。よろしくな!」

にこっと微笑む、拓馬。

周りの女の子が騒ぐ中、私は一人、俯いていた。

拓馬の声だけで、こんなにも辛い。

「・・・先生に質問したい人、いるかー?」

と、“拓馬先生”が言うと、大勢の男子や女子が手を挙げた。

ザッと見て、女子の割合の方が高いだろう。

拓馬は、それを見て嬉しそうに微笑んだ。



『俺、学校の先生になりたいんだ』



ふと、頭をよぎる。

本当に、夢を叶えたんだね。

「よーし。じゃあ、質問がある人は立って!」

ガタタッ、と大きい音を立てて席を立った。

周りを見渡して見ると、私とユメ以外は立ってた。

クラスに46人いるから、44人は立っていることになる。

・・・そんなに、質問することあるのか?

「えと、一番右の列から」

「うーんとぉ、先生ってぇ〜、彼女いますかぁ?」

ブリブリの声で、少し上目遣いをしながら先生に尋ねる。

・・・気持ち悪い。

きっと、そう思っている人も少なくはないだろう。