秘蜜。


掴まれたところが、熱い。

何が起きているのか、理解するのに時間はかからなかった。

「あ、あの・・?」

「送るよ。もう、遅いし」

・・・えぇっ。

それは、悪すぎる。

いきなり家にあがりこんだ上に、送ってもらうなんて・・・!

「いえっ。だいじょーぶですっ。えっと、ほら、夏なので、まだ明るいですし。というか、拓馬さんに送ってもらうのは、恐れ多いというか・・・」

「プッ。何それ。しかも、別に明るくはないでしょ。すぐ、日が堕ちるよ」

持っていた鞄を私の手からひったくる。

「え、あの・・・っ」

「広武、郁ちゃん送ってくるから、夢乃ちゃんを宜しく」

ヒラヒラと手を振ると、リビングから出て行った。

私も急いでそのあとを追う。

「・・・あ」

いつの間にか、もう玄関に拓馬さんの姿はなく、私も急いで靴をはこうとしたが、広武先輩にお礼を言っていないのを思い出し、リビングに戻った。

「あの、広武先輩、ありがとうございました!」

「・・ん。またね」

にこっと広武先輩は微笑んだが、目が笑っていない。

「え、あ、郁!待って、私も・・・」

「夢乃は、ダメ。話があるから」

追いて行かないで、と私を見るユメ。

でも、広武先輩が、怖い・・・。

「・・・ん、どしたの?ユメ、じゃあね」

気付かないふりして、リビングを出た。