「よかったー……」
「え?何で?」
安堵の溜め息をついた柊哉に、あたしは首を傾げる。
柊哉、冬より夏派なのに。
不思議そうに柊哉を見ていると、柊哉はポケットに手を突っ込んだ。
「本当は俺、退院した後に愛波を迎えに行くつもりでさ。姉ちゃんに付き合って貰ったんだ、実は」
そう言ってポケットから出た手に、緑と赤のリボンがかかった、白の箱があった。
「『ホワイトクリスマスに指輪』って、何気ロマンティックじゃね?」
照れ笑いするこの自慢の彼氏は、あたしの手にその箱を握らせる。
やっぱりバカだよ、柊哉。
好き過ぎて、涙が止まらないじゃん。
「なっ……柊哉…!」
「今日はよく泣くな」
ぽろぽろと泣くあたしを柊哉は小突いた。
そして泣き喚くあたしの代わりに箱を開けてみせた。


