退院の迎えに来ていた柊哉のお姉さんに挨拶したり、柊哉がからかわれてたりしたり。
滅多に見れない柊哉の一面を垣間見た後、久しぶりに手を繋いで、あの場所へ向かった。
あたしが柊哉に告白した、公園。
広くも狭くもないありふれた公園なんだけど、2人掛けのベンチはあたし達の特等席だ。
今はすっかり寒いけど、あの夏の熱さも空気も、ハッキリ覚えてる。
「さすがに寒いね……」
「そんな薄着してるからだろ。いくら急いでたからって、焦り過ぎ〜」
「うっさい!」
照れさのあまり柊哉を叩くあたしは、前みたいな鬱々した気持ちじゃない。
こんなの、単なる惚気だけど。
「愛波、明日さ、暇?」
「うんっ!めっちゃ暇!」
「じゃあ映画観ない?海斗から前売りもらったんだよ」
「そうなの?行く行く」
自然と弾む会話。緩む頬が熱い。
そんな頬に、冷たいものが当たった。
「「……雪だ…」」
綺麗にハモった2人は、お互いの顔を見合わせて笑った。


