――ガラッ
「えっ?」
「……え!!」
あたしが病室に飛び込むと、そこには私服姿の柊哉が立っていた。
ボストンバッグに荷物を入れて、何かを書いていたみたい。
「愛波?!どうした?」
ペンを握る右手を、空中に停止させた柊哉。
幸い部屋は一人部屋で、今ここには柊哉と、突然飛び込んできたあたしだけ。
……やっちゃった?
「えっ…だって柊哉、入院は?!倒れたって聞いて……!!」
「え?誰に?」
「萌…何か、バイトが途中で……さっき……」
あたし何言ってんだろ。
テンパり過ぎて、泣きそうだ。
「愛波」
「……………」
「落ち着いて、な?」
そう微笑んだ柊哉は、幽体離脱はしてないみたい。
あたしは柊哉に手を引かれ、病室に入った。


