冷めた態度取られても、浮気疑惑とか浮かんでも。
寂しくなって泣いても、辛くて落ち込んでも。
好きなものは好き。
それだけで、駆け出す理由になるんだよ。
木枯らしみたいな風が吹いて、あたしは眉をひそめる。
めちゃくちゃ寒い。
こんなのって、ありえない。
でもこの道は、柊哉との思い出が多すぎるよ。
だってほら。
よく寄り道した公園も
壊れそうな古い街灯も
工事中のままの空き地も
初めて手を繋いだ路地も
キスをした三叉路の隅も
桜の木が続く並木道だって
全部、変わってないじゃん。
涙を抑えることしか出来ないあたしは、何かが変わったのかな。
柊哉も、変わっちゃったのかな。
もう、元には戻れないのかな。
それでも、どんなに柊哉が嫌って言っても、あたしが好きならいいんじゃない?


