◎Side 柊哉



「あ、柊哉〜!こっちこっち!」


夜のファミレスに入ると、甲高い声で呼ばれた。

窓際の席を陣取っている高校生の集団に、俺は軽く手を上げた。


「ちょっと柊哉、遅れてるよぉ?彼女と会ってたりして〜?」


席に座るや否や向かいに座る女が言うと、周りもヒューと茶化す。


「アホか!部活だよ部活!」

「ムキになるなよ〜。愛しの彼女に会ったって全然ひがんだりしねーから!!」


隣に座る、クラスメイトであり、同じ部活である海斗はあえて大声で言う。


「ひがみまくりじゃねーかよ!!つか海斗、部活サボってんじゃねーし」

「うっさいわリア充!!」


海斗の叫びに周りがどっと爆笑する。


俺はその横で、さっきから光っているケータイをカバンの奥に押し込んだ。