「それはね〜……」

「ちょっと待って。俺そんな事言ってないし頼んでなくね?」


まず何でそんなドンピシャで当てたの?見てたレベルだし。


「は?バカね。見てれば誰だって分かるわよ〜」


そう断言されて、もはや何も言い返せなかった。

バカなのは、重々承知してるっつーの。


「まず、八方美人は嫌われるって事ね。それと……」


わざとらしく溜めてみせる姉ちゃんは、やっぱり母さん似だった。


「二兎追う者は一兎も得ず、って事よ?どちらかを選ぶかは、あんたの独断だけど」


せいぜい悩みまくってみることね。

そう笑った姉ちゃんに、何も言い返せなかった。


俺は、陽菜か愛波を、捨てなければならないってことだ。