自分で言うのも変だけど、愛波は俺にベタ惚れなんだと思ってた。

だから離していても、変わらずに好いてくれるんだと思ってたんだけど。


我ながらバカだな


ケータイ好きの愛波がメールに気づかない訳ない。

というか俺なんて、愛波からメールが来てもあまり返信しない。

それなのに、1回のメールだけで動揺している自分が情けなくて仕方ない。


本当、最低だな。


「ねぇ、柊哉」


ふわっと甘いシャンプーの匂いが鼻を掠めて、俺は顔を上げた。

陽菜の揺れた黒髪が、何故か愛波の茶髪とだぶって見えた気がした。


くいっと掴まれたジャージに驚いたのと同時に、陽菜の唇が、触れていた。


「……え?」

「ごめんね。私、柊哉が好きなの」


愛波、俺、何やってんだろう。