「生きたくても…?」

「私のお母さん…
去年死んじゃったんだ…事故で…」

「交通事故?」

首をふった。
「お母さんね、
小さな探偵事務所で
働いてたんだけど…
ある事件で犯人と
もめあって、
拳銃でお母さんの仲間を撃とうとしたの。
それをかばったお母さんは心臓にあたって…死んだの。
目の前で見た…
お母さんが死ぬとこ…」

「死のうとは思わなかったの?」

「死のうとしたよ?
一回だけ救急車にまでお世話になる大傷もつくったりしてね…」

少年は少しだけうつむいた。