母が良く幼い頃
読んで聞かせてくれた

「人魚姫は
王子様とは
結ばれない運命
なのょ」

と。


子供の私は
何度も問い掛けた。


「ねぇ、
人魚姫はどうして
私が助けたって
ゆわなかったの?」

「声を引き換えに
地面を歩く足を
魔女からもらったの。
だから、
教えたくても
教えられなかったの」

「砂で書けば良かったのに…
そしたら幸せになれたのに……」


「そうね。
きっと人魚姫の気持ちは、ユリがもうすこし大きくなって恋をしたら…分かるかもしれないわね」

母は優しく微笑んだ。

「こ…い…?」

「そう、恋よ。
きっと人魚姫のように素敵な人に
恋をするわ」


母が私の頭をなでてくれた。