苦く甘い恋をする。

我ながら間抜けな声だったと思う。


「あたし……あた……し……」


長谷川くんのあまりの侮辱ぶりに、いつもは無理して言っていた“私”と言うことさえ忘れて、あたしはどもった。


「あたし……。幼稚園の時だって……小学校の時だって……」


「ん?」


『よく聞こえないけど、何?』……そんな疑問を投げかけるような短い声が、ドアの方から聞こえてくる。