その目線の先、後数センチで触れそうな距離にある長谷川くんの唇がふわりと動く。


「でも、俺には。意図的に見えるけど?」


「……え?」


「おまえ、さ。こんなに体を硬くして。全身で嫌がってるクセに、何で拒否しないんだよ?」


「……え?」


「どうして、嫌なら嫌って言わないんだよ?」


「……………」


「たかがキスとか、思ってんじゃねぇよ」