苦く甘い恋をする。

「ふーん。無意識なんだ?」


長谷川くんは私の言葉を遮り、意識的に外した視線を戻すと、斜めに顔を近づけた。


「……っ」


やだっ。何でキスなんか……。


でも……。


“嫌だ”って言うのは、なんか負けたみたいで嫌。


“逃げる”のは、格好悪いから嫌。


だから私は、体を硬くしてギュッと目を瞑った。


こんなの、ほんの数秒……ほんの数十秒で終わることだから。