苦く甘い恋をする。

「ねぇ! ちょっと!? 長谷川くん!?」


私を見下ろし、無表情を貫く男のコートを掴んで、ユサユサ揺する。


すると……


「案外、子供」


意地悪そうに口元を歪めた冷たい声と、


「おまえが言ったんだろ? 口もききたくないって」


頭の上に、大きく温かい手が降ってきた。


「……っ。そ……そうだけど……」


思わず、ぷーっと頬を膨らませてしまう。


やってしまってから、“また子供っぽいって言われちゃう!!” 私はすぐに表情を元に戻した。