苦く甘い恋をする。

「美姫ちゃん……。つまらない?」


目の前の、メガネをかけた頭のよさそうな男が小首を傾げる。


「あ、いえ、そんなことは……。
とても楽しいです」


すぐにお得意の愛想笑いを浮かべてそう言ったけど。


信じられないことに、私、さっきから時計ばかりチラチラ気にしてる。


こんなこと、今までなかったのに。


これは、間違いなく……ヤツのせい。


そう、長谷川征。