「あと……、もう一組で終了ね」 戦場のような忙しさのピークを越えた16時過ぎ。 栗林さんがホッとしたような笑みを浮かべた。 「そうですね。今日もなんとか無事に終われそう……」 愛想笑いを浮かべながら、私は足元に置いてある小さなバッグに手を伸ばした。 「……すみません。お化粧室に行ってきてもいいですか?」 「いいわよ、ゆっくりしてきて。次のお客様まで、まだ間があるから」 栗林さんはPCに目を落としながら微笑んだ。