苦く甘い恋をする。

私の腕に腕を絡ませたままクネクネ体をくねらせる愛海に、足を一歩前に踏み出しながら、長谷川くんは言った。


「あ――……、だったら、愛海が話せば?」


「え~でもぉ。私は征の口からもう一度聞きたいよぉ」


「聞きたいって……。別に、大した話じゃないだろ。
じゃ、またな」


長谷川くんは愛海に向かって片手をあげ、IDを取り出し、ピーという音を響かせエレベーターホールへ向かった。


長谷川くんの姿が見えなくなると、愛海は私の腕に絡めていた腕をほどき、ソファにへたり込んだ。