苦く甘い恋をする。

人影がまばらになった1階エントランスでの愛海の声とヒールの音は、エントランス中に響き渡った。


それでも愛海は気にするそぶりもなく、私の腕に腕を絡ませると、アイツと座っていたソファに向かって私を引っ張った。


「……っ。ちょっと……愛海っ……」


私は、長谷川くんと話すことも、話すつもりも全然ないよ!!


そう言おうとした時、目の前がスッと暗くなった。


なんてことはない。


それまでソファに座っていた長谷川くんが、私を前にして立っただけ。