苦く甘い恋をする。

「あっ、美姫、美姫っ!!」


私に気づいたらしい愛海が、私に声をかけた。


……最悪。


「こっち、こっち」


極力声を抑えているつもりだろうけど、愛海の声は結構通る。


その上、大理石の床の上をヒールで小走りしてきたものだから……。


カツカツカツカツ……音の反響がすごくて、数人が私達を振り返った。


人の往来が激しい昼間と違って、今は夕方、18時20分。