聞こえてきた声に思わず肩を震わせてから、そっとドアの方へ視線を送る。
篤が壁になって、あたしからはドアを開けた人の顔は見えないけど……。
同じように首だけで後ろを振り返った篤が、小さく「うわっ」とつぶやいた。
「…………、え?あたし、邪魔した?」
「いや! そんなんじゃないから!」
慌てて飛び起きながらそう言った篤に続いて、広くなった視界のピントを部屋の入口に合わせる。
「いつの間に彼女できたわけ?メールでも入れといてくれれば、わざわざこんな時間に家に帰って来ようなんて思わなかったのに」
バランスを崩しながらなんとか座る篤ににやりとした視線を送りながら、見覚えのある顔の女の人が言った。
「いや、とりあえず、この子は“彼女”じゃないから!それに、メールしてたら絶対にわざと早く帰って来てたでしょ。咲は」
「咲さん?」
あたしの顔を知らない辺りから考えても、目の前にいるのが紬さんじゃないことはわかってた。
でも、言われなきゃわからないくらいに顔のパーツや声はそっくりだ。
じっと考えてみると、紬さんよりも咲さんの方が髪の色が明るい気もする。
「そっか! 昨日ウチに来てた子ってこの子だったんだ!」


