俺のシンデレラになってくれ!


どの辺りから話を聞いてたのか、シンプルなスキニーをはきこなす女の人が、ドアの所で腕を組んで立っていた。


少しボタンの開けられた無地の白いシャツからは、インナーの綺麗な黄色が覗いてて格好いい。



「紬! 仕事落ち着いた?」


「……人の話聞いてないでしょ。まぁいいわ」



呆れたように吐き捨てると、紬さんは部屋の隅に置いてあった折り畳みのイスを開いた。


いわゆるお誕生日席。


足を組んで篤を見下ろすと、紬さんは口を開いた。



「それで?今日はどうするの? これだけ大勢で来て、自分の髪切ってくれって言うわけじゃないんでしょ?」


「今日は美砂の髪をどうにかしてほしいんだよ」



そう言って軽く指されて、あたしは思わず顔を上げた。


まじまじと紬さんから視線を送られて、何となく気まずい気分になる。


ソファーに座ったままのあたしの全身を見てどう思ったのか、紬さんは眉間にしわを寄せた。


……まぁ、いい印象じゃないのは確実か。


仕事に配慮してか紬さんも足元はスニーカーだけど、あたしのスニーカーとはレベルが違う。



「美砂ちゃん、どうしてほしいみたいな希望はある?」


「もう少し軽くして、ちょっとだけ豪華な雰囲気出してくれない? ただ、髪は染めないままで。つやっつやにして!」