俺のシンデレラになってくれ!

無駄にきらきらとした店内に、つやつやした真っ黒の受付カウンター。


その中でにっこりと微笑みながら、きっちりと髪をアップにまとめた女の人が篤に話しかけた。


白いシャツに黒のタイトなスカートは、受付の人の正装なのかもしれない。



「ありがとうございます」


「咲さんでも紬さんでもいいんだよね?」


「はい、どっちでも。よろしくお願いします」



軽く頭を下げた篤は、慣れたように受付の奥にあるドアを開ける。


……完全にお客さん用じゃないよね、この部屋。


真っ白のクロスが綺麗な壁。


中央にはガラスの低いテーブル。


それを挟むみたいに黒いソファーが2つ置かれた部屋は、狭いながらも店内のお洒落な雰囲気を纏ってるような気がして、何だかそわそわする。


部屋の奥には背の高い棚が置かれていて、中にはびっしりと雑誌が並んでいた。



「適当にソファーに座ってて。俺もすぐに戻ってくるから」



ぽかんと部屋を眺めるあたし達を放って、篤はすっと部屋を出て行った。



「うーん、とりあえず座ろうか?」



苦笑いをしながらそう言った雅也に続いて、晴香とあたしもソファーに座る。


雅也の正面に座ったあたし達は、戻ってこない篤の代わりに雅也に説明を求めた。