「質問は?」
「え……と、“こわし”って何?」
「セットを壊すこと。板とか布とか、次も使えそうなものとそうじゃないものに分けて片付けるとこまでやる」
軽く頷いて話を聞くけど、篤の表情が変わることはない。
あたしは、溜息を飲み込んで渡された紙をもう一度見た。
初めは何とも思わなかったけど、日にちとシンプルな日程だけ書かれた紙はサークルの人向けというよりも、あたしに説明するために編集し直したものに見える。
……本当に、真剣だってこと?
だからって、あたしが何かできるようになるわけではないんだけどさ。
「“仕込み”っていうのは?」
「簡単に言えば、舞台と客席のセッティング。大学の芸術ホール借りてやってるから、いろいろ手を加えるところが多いんだよ。他は平気?」
「その流れでいくと、“搬入”は必要な道具を運び込むことでしょ? 他は、言葉としてわからないところはないかも」
ホームページを作ってるとか、ポスターをしっかり作ってるんだとか、驚いたことはたくさんあるけど、言葉がわからなくて困る部分はない。
「公演までの流れはわかった! で?次はあたしにどうしてほしいわけ?」


