俺のシンデレラになってくれ!

「は? それは別に頼んでないしっ!」



思わず言ったあたしを、椅子に座ってる晴香が思いっきり睨みつけてきた。


まだ立ったままだったあたしの方が何かと優位な位置にはいるはずなんだけど……苦笑いと一緒に視線を外す。



「頼まれてはないけど、やらないわけにはいかないでしょ」



大げさな晴香の溜息に合わせて、体を椅子におさめる。



「いきなり訪ねて行ったのはこっちなんだし、いきなりあんな一方的に言いたいこと言って帰られたら、向こうだってびっくりするでしょ。失礼でしょ」


「そうかもしれないけど……」


「かもじゃなくて、そうなの。だから、あたしはノータッチだから」


「いや、だからそのノータッチって何なの?」



眉間にしわを寄せるあたしを見て、晴香が小さく息を吐き出した。


それに合わせたみたいに、教室のドアが開いて、先生が入ってくる。



「嫌でもすぐわかると思う。とりあえず、これ終わったら話すわ」



面倒臭そうにそう言うと、晴香は真っ白なルーズリーフを広げた。


先生が話を始めたのに合わせて、あたしも文字をつづる。



「次お昼休みでしょ。ちゃんと説明して、心の準備くらいはさせてあげるから。……間に合えば、の話だけど」