……なんて言ったら、“その辺の女の子”に失礼かもしれないけど。
勢い任せではあったけど、言っちゃったものは仕方がない。
冷えた頬が逆に熱くなるような、不思議な感覚を我慢して、篤を睨みつける。
十分ふわふわしてて、自信を持てるような状態じゃない考えを聞かれたことに、引き出されたことに、今更ながら焦り始めた自分が嫌だ。
「何で公務員なんて……?」
不思議そうにつぶやく篤を見て、ゆっくり息を吐き出してから口を開く。
「“安定”を求めてるからに決まってるでしょ」
「“安定”……?」
ますます不思議そうな反応をする篤を、静かに見上げる。
「将来的に考えたら、大卒公務員の肩書は、何が何でも獲得するべきアイテムなの」
隣で晴香が小さく動いた気もしたけど、そのまま話を続けた。
「“安定なんて”……ってバカにした?してるでしょ?でも、そんな安っぽい言葉で片付けないで。
給料だって、年金だって、保険だって、一般企業よりも手厚いところがたくさんあるんだから。この先そういう手当がどんな方向に行くのかはわからないけど、現時点でのそれを利用したいと思うのは当たり前でしょ?」
「そのために公務員になるの?」
「いい加減な理由だって思った?」
すかすかした息を吐き出して、篤を見上げる。
篤は、眉間を固くしながら口を開いた。


