俺のシンデレラになってくれ!

「なるわけないでしょ!論外よ!」


「へ?入会希望なの?」


「いや、今の話聞いてました?ただ覗きに来ただけなんです!」



びっくりしたように目を見開く信吾さんの後ろで、篤は盛大な溜息を吐いた。


他の3人は意味がわからない、という表情でぽかんとしてる。



「でも、覗きに来たってことは、少なからず“結”に興味があるってことなんじゃない?」


「そんなこと……」


「それとも、篤に興味があるのかな?」



怪しいくらいに綺麗に微笑んだ信吾さんを見て、今度はあたしが溜息を吐いた。


昨日の今日で、そんなことなんて絶対にあるはずがないし、今後もそんな状況に陥る可能性はゼロだ。


折れるあたしの隣で声をあげて笑ってから、晴香がすっと口を開いた。



「初対面の女の子をいじめるなんてひどいですよー、信吾さん。
あたし達、篤とは最近知り合ったばっかりなんです。結に入ってるって聞いて、どんなことをしてるのか気になって……少し覗きに来ちゃいました。お邪魔でしたよね?すみません」



そう言って軽く頭を下げた晴香を見て、信吾さんはまたにっこりと笑った。



「なるほど。君らも少なからず、演劇バカの毒気にあたったパターンなわけね」


「信吾さん、演劇バカはひどくないですか?」


「えー?間違ってないよね? 勝?」



反論する篤をかわして、信吾さんががっしりとした体型の男の人に話をふった。


困ったように笑ったおかげで、細くて優しそうな目が余計にぐっと細くなる。



「間違ってないとは思いますけど、ストレートすぎて篤が可哀想ですよ。それより篤、適当にみんなを紹介しろ」