「いいですよ。あたしも気になりますから」
にっこり笑う黒髪の人に、晴香が笑いをこらえながら頷いた。
「黒川晴香。教育学部の2年です。こっちは篠原美砂[しのはら みさ]」
「どうも。晴香とは学部も専攻も一緒なんです」
少しだけ苦しくなった肺をおさえながら、黒髪の人に小さく頭を下げた。
1つ席を空けて隣に座る彼は、さっきのショックからかまだぼーっとしてる。
「じゃあ、みんな同じ学年だな。俺は樫木雅也[かしわぎ まさや]。このぼーっとしてるのは神上篤[かみじょう あつし]。2人とも経済学部の2年」
「経済かぁ。じゃあ、授業も一緒にはなんないね。国語だから、あたし達」
「国語か。そりゃあ縁もないわけだ。俺、文学的なセンスなんて皆無だし」
「いやぁ、国語だからって文学のセンスがあるわけじゃないよ?覚えることも多いし。基本はやっぱり教育になっちゃうし。ね?美砂」
とんとん進む2人の会話に耳を傾けながら、「うん」と頷く。
初対面の人とここまで楽しそうに話せる2人が、本当にすごいと思う。
上手く言葉の続きを見つけられなくて、あたしはそのまま残っていた卵焼きをつまんだ。
「教育かぁ。でも少し羨ましいかも。俺、バイトで塾講やってるけど、子どもの気持ちなんて全然わかんなくて大変だし。そういうの知ってるだけでも得かも」
「塾の講師ねぇ……。あたしもよくわかんないし、役立つかはわからないけど。雅也くん話しやすいし、生徒さんからも人気ありそう」
「どうだろ? あ、それより、呼び捨てでいいよ。コイツのことも篤でいいし」
“呼び捨てでいいよ”なんてさらっと言うのが、大学生の普通なのか……。
サークルなんかに入ったことがないあたしには、なかなかないシチュエーションだから少し面白い。
雅也本人は、何事もなかったみたいに手元のカレーを口へ運んでる。
「そう?じゃあ、あたし達のことも呼び捨てでいいから。美砂もいいでしょ?」
にっこり笑う黒髪の人に、晴香が笑いをこらえながら頷いた。
「黒川晴香。教育学部の2年です。こっちは篠原美砂[しのはら みさ]」
「どうも。晴香とは学部も専攻も一緒なんです」
少しだけ苦しくなった肺をおさえながら、黒髪の人に小さく頭を下げた。
1つ席を空けて隣に座る彼は、さっきのショックからかまだぼーっとしてる。
「じゃあ、みんな同じ学年だな。俺は樫木雅也[かしわぎ まさや]。このぼーっとしてるのは神上篤[かみじょう あつし]。2人とも経済学部の2年」
「経済かぁ。じゃあ、授業も一緒にはなんないね。国語だから、あたし達」
「国語か。そりゃあ縁もないわけだ。俺、文学的なセンスなんて皆無だし」
「いやぁ、国語だからって文学のセンスがあるわけじゃないよ?覚えることも多いし。基本はやっぱり教育になっちゃうし。ね?美砂」
とんとん進む2人の会話に耳を傾けながら、「うん」と頷く。
初対面の人とここまで楽しそうに話せる2人が、本当にすごいと思う。
上手く言葉の続きを見つけられなくて、あたしはそのまま残っていた卵焼きをつまんだ。
「教育かぁ。でも少し羨ましいかも。俺、バイトで塾講やってるけど、子どもの気持ちなんて全然わかんなくて大変だし。そういうの知ってるだけでも得かも」
「塾の講師ねぇ……。あたしもよくわかんないし、役立つかはわからないけど。雅也くん話しやすいし、生徒さんからも人気ありそう」
「どうだろ? あ、それより、呼び捨てでいいよ。コイツのことも篤でいいし」
“呼び捨てでいいよ”なんてさらっと言うのが、大学生の普通なのか……。
サークルなんかに入ったことがないあたしには、なかなかないシチュエーションだから少し面白い。
雅也本人は、何事もなかったみたいに手元のカレーを口へ運んでる。
「そう?じゃあ、あたし達のことも呼び捨てでいいから。美砂もいいでしょ?」


